今 なぜシュタイナーなのだろう 〜私たちの社会の現実〜(2000.11) |
私たちが見失っているもの。いくつもの警告が発されているにも関わらず眠ったまま過ごしてきた問題が音をたてて弾けようとしている。あまりにも度を超した物質主義は、人の心や精神をますます弱いものにし、喜びの時間の価値をも損なっている。芸術的なファンタジーは殺され、いきいきとした、子供の表情が少なくなってきた。確実に廃れていくものと、力強く残ってゆくものがある。本質を見極める眼、いきいきとした知覚活動によってひとりひとりが内面を熱くしてゆかなければ、私たちの住む世界は冷たく凍ってしまうか、干からびてしまうだろう。シュタイナーの社会思想がここにきて各分野で取り上げられているのにはそれなりの理由があるだろうが、時代が必要としているもの、それは根本的な治癒ではないだろうか。いのちそのものの輝き、もののなかに宿る命、もっと見直してゆくべき、そういう時代の切実なる予感がシュタイナーの思想をクローズアップして映しているのではないか。生命力あふれる人やものが少なくなりつつあるこの社会の中で一貫してひとの命の働きを見つめを続けてきたシュタイナーの社会実践は未来社会のモデルケースとなりうる多くの明るいヒントを私たちに投げかけている。』に満たされた自然という理念に全く一致している。
Empty Mind (Astralis の前身 )vol.11 p4 スイス・ドルナッハから1年 より抜粋